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地味な後妻ケトラ

                           (創世記254
                                            石川和夫牧師
  

  

 

 ケトラという名前は、あまり馴染みがありません。仮に、クイズにでも出されたら、私でも、そんな人がいたのか?と首を傾げてしまいそうです。創世記に登場するのが、一回だけ、歴代志上に一回登場しますが、それも創世記と全く同じ系図に出て来るだけです。
 でも、私は「これらは皆、ケトラの子孫であった」(創世記25・4)と書かれていることに目が止まりました。これは、どういうことだろうか、と気になったのです。
 彼女の孫にあたるデダンの子孫として名が挙げられている、「アシュル人、レトシム人、レウミム人」、彼女の産んだミディアンの子孫として挙げられている「エファ、エファエル、ハノク、アビダ、エルダア」は皆、アラビアの遊牧民の部族の名です。
 イスラエルとアラブは、最近まで仲が悪かった、という印象ですが、長い歴史の中では、仲良く共存していた時代の方がずっと多いのです。「これらは皆、ケトラの子孫であった」ということは、アラブ人の先祖もアブラハムだ、と言うことです。
 すでに学んだように、アブラハムは気丈な妻サラにどれだけ助けられていたでしょうか?その妻サラを失ったアブラハムの落胆ぶりは想像に余りがあります。引退した晩年のアブラハムがケトラによって六人もの息子を産んだ、ということは、彼女がいかに寵愛されていたかをうかがわせます。
 ユダヤ人がアラブ人と長く共存できた背後に、この創世記の言葉が生きていたのではないでしょうか?