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残忍なアビメレクを殺した無名の女り高き女性

                      (士師記9・1〜57)
                                            石川和夫牧師
  

ギデオンと言えば、旧約聖書では、信仰の勇者の一人です。国際的な聖書贈呈の団体が 「国際ギデオン協会」と名乗っていることでも有名です。しかし、彼の女性関係は派手だったようです。「ギデオンには多くの妻がいたので、その腰から出た息子は七十人を数えた。」(士師記8・30)
 その多くの妻たちの一人だったか、或いは枠外だったのか、「シケムにいた側女」も一人の息子を産みました(8・31)。その名をアビメレクと言います。アビメレクには腹違いの兄弟が七十人いました。自分の母が「側女」だったことが影響したのか、或いはすべての兄弟に敵意を抱いて皆殺しします。ただ一人、末の子ヨタムだけが身を隠して生き延びます(9・3)。そしてついに王になります(9・6)。
 しかし、士師記の著者は、そのことを神がみとめられなかったことを告げます(9・56)。彼は三年間イスラエルを支配下においた(9・22)のですが、支配下においたシケムの首長たちが裏切ることになります。アビメレクは直ちに反乱軍の討伐を行い、地下壕に逃げた千人を蒸し焼きにして殺すなど、猛威を振るいます。余勢を駆ってテベツの町を攻撃します堅固な塔と城壁があったようですが(9・51)、彼はものともせずに、その塔に近づいて火を放とうとしたとき、「一人の女がアビメレクの頭目掛けて、碾き臼の上石を放ち、頭蓋骨を砕いた」(9・53)のです。
 ここで、目にとめたいのは、戦争という残忍な物語ではあるのですが、神が御業をなさる時、有名で有能な人ばかりが用いられるのではない、と言うことです。名前を挙げるほどでもない人っていますよね。でも神はお用いになられるのです。