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差別の犠牲者、ユディトとバセマト
創世記26・35

                                             石川和夫牧師
  

 「彼女たちは、イサクとリベカにとって悩みの種となった。」(創世記26・35) このような家庭は、今日でも珍しくありません。彼女たちとは、イサクとリベカの双子の息子たちの一人、エサウの妻たち、ユディトとバセマトです。彼女達はヘト人でした。
 ヘト人は、現在のトルコ人の先祖とされています。紀元前2000年頃から1300年頃まで、メソポタミヤを中心とした中近東で勢力を持っていました。この民族が初めて鉄を武器に使用し、馬を戦闘に利用したので、世界的な強国となったようです。イサクとリベカの時代は、ヘト人の全盛期でした。文化的にも先進国だったでしょう。その娘たちを愛したエサウの気持ちは、敗戦直後のアメリカ人の生活に憧れた私には、よく分かります。
 目に見えないヤーウエへの信仰を徹底するために、当時は、異邦人との結婚はご法度でした。あのソロモンの晩年の堕落も多くの異民族の娘たちとの結婚にあったと聖書は記録しています(ネヘミヤ13・6)。リベカが、「わたしは、ヘト人の娘たちのことで、生きるのが嫌になりました。」(創世記27・46)と嘆くのも無理もありません。
 エサウは、自分の妻たちが親の気に入らないのを知って、遠縁にあたるアラブ人のマハラトを妻としました(創世記28・8、9)。ユディトとバセマトは、どうなったのでしょうか?純潔主義が生み出す差別の犠牲者は、彼女たちだけではなく、エサウもイサクとリベカもそうだったと言えるようです。