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賢明な夫に仕えた賢明な妻アセナト

                                             石川和夫牧師
  
 「お前ほど聡明で知恵のある者は、他にはいないであろう。お前をわが宮廷の責任者として扱う。」(創世記41・39)
 十年の牢獄生活の後に、ヨセフは誰も解くことが出来なかった王(ファラオ)の夢を解いて、一転して、王の次の位に抜擢されます。更に、ファラオがヨセフに妻として与えた(このような表現は気になりますが)のが、オンの祭司、ポティ・フェラの娘アセナトです。
 オンというのは当時のエジプトの首都、メンフィスの北東約三〇`にあった太陽崇拝の中心地でした。ギリシア時代には、ヘリオポリス(日の町)と呼ばれ、イザヤも「太陽の町」の名を挙げています(19・18)。太陽神の神殿とともに祭司の教育機関が併設されて、古代の知性の町として有名でした。
 オンの祭司の娘といえば、現代なら超エリートの娘、と言うことになります。異教の神については厳しい旧約聖書の創世記で、ヨセフの妻として、後の十二部族の先祖となるエフライムとマナセを産んだのが、「オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナト」だと三回も記録されていることは、よほどのことだった、と言えるのではないでしょうか。
 彼女自身が何を言い、何をしたかは一切述べられていないのですが、この三回の表現が、創世記の著者の評価を示していると思います。異教徒であったのに、ヨセフの信仰に同調し、二人の息子を父ヤコブの養子とすることにも異議を挟まない、というところに、彼女の賢明さだけではなく、ヨセフに対する真実の愛を見る思いがします。イエスの系図に、四人の異邦の女性の名が記録されていることを思い出します。