「ことによるとキリスト教とは結局のところ正しいことを行うことを心がけながらより良い人生を送ることである。というように、考えている方がいるかもしれません。しかしそれは本末転倒した考え方です。キリスト教とは私たちが何をすべきか、どのように生きるべきか、ということではありません。何よりも最初に大切なことは神がキリストにおいて何をしてくださったかということです。神がどのような方なのかを最初に知っていなければ、私たちがどのように生きるべきかは、わかりません。ですから、最初に、神の御名は聖なるものである、と口にすることによって、どのように生きるべきかが、私たちに告げられるのです。創造主を知ることから、被造物がどこを目指して歩いていけば良いかが告げられるのです。」(W・H・ウィリモン、S・ハワース「主の祈り」、教団出版局、二〇〇三年一〇月二四日、初版、八九頁)
創世記1章(--世界がどのように成立したかを記したものではない。そうではなく、世界と人間の存在の確かさがどこにあるかという、当時の、緊急かつ根源的な問題に答えたのである。創世記1章が深く見つめているのは世界の不確かさである。それは2節に現れる。」--左近淑「混沌への光」、ヨルダン社)
当時の科学的な認識(--地球が平らで、空が丸かったという認識ですから、これをもって世界がどのようにできたかを示した真理の書だというのは、ひいきの引き倒し、私はそういう聖書の読み方を聖書偶像主義と呼ぶのですが--)
永遠の命(--永遠の命、無限に生き延びるという意味ではなくて、永遠なる神と常に結びついた命、それは具体的にはどのような生き方になるかというと、今ここに生きる、つまり、常に今、過ぎ去った過去はもう取り戻せない、未来はまだわからない、とすると、今ここに生きるということは、今から始める、常にいつも、始まる--)
神はご自分にかたどって、人を創造された(--「似せて」とか「かたどって」--私が地上にたてた、私のイメージである--「私の代理として」という意味です--神から委託されたから、我々が何でもできる、我々が決めたことが、全部真理なのだ、となりがちなのですが、そうではな、もっと大事なことは、神が地上に向かってしようとしておられることをおまえたち、頼んだぞ、という神の代理の使命のことを意味している、とアンダーソン教授は言うのです。)
究極の終わりは死(--終わりではなく、変わることでしかない--)
ユーモアの源泉(--のゆとりが、ユーモアを生む--) アルフォンス・デーケン教授(「よく生き、よく笑い、よき死と出会う」--ユーモアとは、にもかかわらず笑うことである--一人のご婦人の死”彼女は十一人の子供を立派に育て上げて、重い病にかかられるのですが、その時九十一歳でした。そして、とうとうお医者さんが、もうあと三時間でしょうと言われたので、家族全部が揃いました。昏睡状態のようにみえていたのですが、彼女はカトリックの信者だったので、そこにも司祭が来ていました。もう、お母さんと話すことはできないけれど、みんなで祈りましょうということになり、みんなで短いミサを捧げました。
それが終わると、九十一歳のおばあさんが、急に目を開けて、 「私のために祈ってくれてありがとう。ところで、ウイスキーを1杯飲みたいのだけど。」 みんなびっくりしました。大体この方は、お酒なんて飲んだことがない、飲めない方だったのですが、ウイスキーを一杯飲みたいのだけど、と言う。それで、子供の一人が最後だからと思って、グラスにウイスキーを持ってくると、一口ぐっと飲んで、「ぬるいから、少し氷入れてちょうだい」と言ったので、慌てて、氷を入れるとお母さんは、それを「おいしいわ」と言って、全部飲んでしまった。その次にまた、「タバコが吸いたいわ」と言い出した。それで、たまりかねた長男が、お医者さんが、タバコはいけないと言っていますよ、と言いました。もちろん、彼女は、これまででも吸ったことがないのです。そうすると、お母さんが、 「死ぬのは、お医者さんじゃなくて、私ですよ、タバコちょうだい」と厳命されたので、また慌てて、タバコを用意して渡しますと、悠々と一服つけて吸った後に、みんなにありがとうと言いました。その後、「天国でまた会いましょう、バイバイ」と言って、横になって、そのまま息を引き取りました。デーケン先生は、こういうふうに注釈を加えています。 「彼女はそれまでに、何度も友達や親戚の葬式に出て、皆が涙を流して悲しむのを見てきました。それで、自分の死によって、子供や孫たちを悲しませるのではなく、明るい雰囲気のコメディを残そうとしたのでしょう。何という美しい愛と思いやりでしょうか。私たちは、人生残りの三時間では、もう何もできないと思い込んでしまいますが、この母親はユーモアによって、子供と孫たちに、生涯忘れられない貴重なプレゼントを残したのです。」(アルフォンス・デーケン「よく生きよく笑いよき死と出会う」、新潮社--)
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