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理想的な嫁、姑、ルツとナオミ
(ルツ記11423

                                             石川和夫牧師
  
 

  「ナオミはその乳飲み子をふところに抱き上げ、養い育てた。近所の婦人たちは、ナオミに子供が生まれたと言って、その子に名前を付け、その子をオベドと名付けた。オベドはエッサイの父、エッサイはダビデの父である。」(4・16、7)
 「ルツ記は、ナオミが忍耐の末に、祈りの末に男の子を抱きえたという話で終るのではない。ルツのおかげで養子を得て、エリメレク家の家名が絶えないで済んだというエリメレク家家名存続物語ではない。・・・・士師時代から始まり王国形成期を経てダビデ時代に至るまでの大変動期を生き抜いた一つの小さな家族の歴史を通して、神がイスラエルの民をどのように慈しみ、導かれたかを記した物語なのである。」(左近淑)
 ルツの名は、新約聖書の冒頭、マタイによる福音書の冒頭にあるイエス・キリストの系図の中にも登場します。この系図には、四人の女性の名が登場しますが、ルツはその一人です。イスラエルがずっと軽蔑していたモアブ人でした。
 ルツ記に登場する人物は、旧約聖書には珍しく善良な人ばかりです。ルツ、ナオミ、後にルツと結婚するボアズ、みんなそうです。それは、ヘブライ語のヘセド、つまり思いやりと深い関心から派生する忠誠あるいは誠実に生きる人々です。
 前六世紀のエズラ、ネヘミヤの宗教改革で、異邦人の妻を強制的に離婚させられたことに対する反動として、この物語が伝えられたという説を裏付けるかのようです。いずれにしても、ルツ記は、単なる善良な人々の物語で終るのではなく、神の救いは、その人一代で実現するものではなく、何代にもわたってヘセドを実現する、ということを示しています。ナオミから四代のちにダビデが現れるのですが、ナオミもルツもそれを目にすることは出来なかったのです。