検索によりこのベジをごらんの場合
「旧約聖書の女性と現代」ページに移動することができます。
 
トップページへ戻る 



繁栄と安定を追及したロトの妻

                         (創世記1926)
                                            石川和夫牧師
  

死海の南西岸の岩塩の小高い丘に、一つの突き出た岩塩の柱があります。女性の姿に見えるのです。それを塩の柱となった「ロトの妻」と呼んでいます。下から見上げるしかないのですが、それでも三、四メートルはある巨大な柱です。
おそらく偶然、似たような岩塩の柱があったので、いつしか、そう呼ぶようになったものと思われます。しかし、イスラエルの人々は、これを見て、創世記のロトの妻の教訓を噛みしめていたのだろうと思います。
 夫のロトも妻と似て、繁栄と安定を追及していたようです。叔父のアブラハムに伴われてカナンの地にやってくるのですが、家畜が増えて牧童たちのトラブルが相次いで起こったので、アブラハムの提案で、岩地と草地のどちらかを選ぶことになって、彼は躊躇なく、肥沃な草地を選びます。計画どおり、豊かになり、更に繁栄しているソドムに移り住みます。
 この町があまりの堕落のために、神さまに滅ぼされることになって、神の使いに脱出を促されるのですが、娘婿たちは本気にしません。ロトもためらうのですが、強引に連れ出されてしまいます。安全地帯に到達したときに、後をふりむいてはいけないと警告されていたのにもかかわらず、妻は、やはり未練がましく振り返ってしまって、潮の柱になってしまいます。
 福音書記者のルカの警告は人ごとではありません。
 「ロトの妻のことを思い出しなさい。自分の命を生かそうと努める者は、それを失い、それを失う者は、かえって保つのである。(ルカ17・32、33)