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誇り高き女性、サウルの娘、ミカル

                      (サムエル記下6・1〜23)
                                            石川和夫牧師
  
 ミカル(ヘブル語で「神のような者は誰か?」)は、イスラエル初代の王、サウルの下の娘で、ダビデを愛しました。ゴリアテを倒して以来、人気上昇のダビデを妬んだサウルは、ダビデを亡き者にしようと考え、いわば、ミカルを餌にして、ダビデにペリシテ人の陽皮百枚を取って来るように伝えます。
 ダビデは難なく二百枚の陽皮を持ち帰りました。ペリシテ人にダビデを殺させようという計画は失敗し、ミカルを約束どおりダビデの妻として与えねばならなくなってしまいます。(サムエル記上18・12〜30)
 サウルは、息子のヨナタンと家臣の全員にダビデを殺すようにと命じます(19・1)。しかし、ダビデを愛していたヨナタンは、この計画をダビデに伝え、妻のミカルは、夜、窓からダビデを吊り下ろして逃します(19・11〜17)。
 ダビデがサウルの追及を逃れて逃避行を続けている間に、サウルは、娘ミカルをガリム出身のライシュの子パルティに嫁がせます(25・44)。しかし、サウルの戦死後、王位に就いたダビデは強引にミカルを取り戻します(下3・14〜16)。だが、ミカルの愛情は冷めていたようです。ダビデには、長い間の念願だった、契約の箱がエルサレムに運ばれた時、「主の御前で跳ね踊るダビデ王を見て、心の内に蔑んだ」(6・16)のです。上機嫌で帰宅したダビデを嘲笑ったことで、ダビデは激昂しました(6・20〜22)。
 「サウルの娘ミカルは、子を持つことのないまま、死の日を迎えた。」(6・23)という言葉で、ミカルについての記述は終っています。「子を持つ事のないまま」という表現は、当時、神からの祝福にあずからなかったことを意味しました。ダビデとミカルの食い違った誇りが引き起こした悲劇的結末と言うほかはありません。