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賢い遊女、ラハブ

                           (ヨシュア記212
                                            石川和夫牧師
  

 「わたしたちはあなたたちに誠意を示したのですから、あなたたちも、わたしの一族に誠意を示す、と今、主の前でわたしに誓ってください。そして、確かな証拠を下さい。」(ヨシュア2・12)
 いわゆる水商売というと、何かふしだらな女性のしている仕事というイメージがあります。特に、遊女、といえば、反道徳的な仕事ですから、つい見下げてしまいがちです。でも、今日のタイでも、貧しさのゆえに、身を売る少女も少なくないようです。しかし、彼女たちは決して好きでしているわけではなく、自分の家族を救うために、命がけで(エイズの危険をも顧みず)働いています。
 ラハブもそのような遊女だったに違いありません。エリコの偵察を命じられたヨシュアの部下の二人の斥候は、敵の目をあざむくためでしょうか、ラハブのところに泊まります。ところが、誰かに見破られたのか、彼女は、この二人をエリコの王に引き渡すように、と命じられます。しかし、彼女は機転をきかして、追っ手をまいて、二人を屋上にかくまいます。そして、冒頭の言葉を二人に告げるのです。
 彼女の示した誠意は、自分の王にそむくという冒険でした、まかり間違えば、裏切りの罪で死刑になるのですが、この二人の斥候の信仰に自分の命を賭けたのです。そして、自分だけでなく、自分の一族を救うように頼みます。彼女は「あなたたちの神、主こそ、上は天、下は地に至るまで神であられるからです」(11節)と言っています。新約聖書でも、彼女の信仰が評価され、キリストの系図にも、その名が挙げられ、こう称えています。「信仰によって、娼婦ラハブは、様子を探りに来た者たちを穏やかに迎え入れたために、不従順な者たちと一緒に殺されなくて済みました。」(ヘブライ人への手紙11・31)