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サムソンを滅ぼすデリラ

                           (士師記16131
                                            石川和夫牧師
  

「来る日も来る日も彼女がこう言ってしつこく迫ったので、サムソンはそれに耐え切れず死にそうになり、ついに心の中を一切打ち明けた。」(士師記16・16)
 サムソンは力持ちの勇者ですが、女好きでナジル人とは思えない奔放な生き方をしていました。「ペリシテ人の娘に目を光れ」(14章1節)で、その女を妻に迎え(14・2)、「若者の習慣に従い、宴会を催し」(14・10)たりします。結局、その妻にだまされて大ピンチを迎えますが、持ち前の怪力で敵を打ち負かせます。
 それにも懲りず、「ガザに行き、一人の遊女がいるのを見て、彼女のもとに入り」(16・1)ます。まさに自由奔放に生きています。「その後、彼はソレクの谷にいるデリラという女を愛するようになった」(4節)のです。このデリラがしたたかな女だったのです。
 彼女はペリシテ人でしたから、ペリシテ人の領主の言うことを聞くのです。ペリシテ人はなんとかしてサムソンの怪力の秘密を知ろうとしてデリラを言いくるめます。サムソンは三回、嘘の答えをするのですが、デリラにしつこく迫られて、ついに白状してしまいます。彼は捕えられて目をえぐり取られ、牢屋で粉ひきの重労働をさえられます(21節)。
 その間に、「彼の髪の毛は伸び始めて」いました(22節)。ペリシテ人が勝利の祭りに酔っている最中に、彼は「わたしの神なる主よ。わたしを思い起こしてください。……」(28節)と祈り、建物を支える二本の柱を倒してわが身もろともペリシテ人を多く殺しました。旧約聖書は、「堕落した」ナジル人をも神は、お用いになることを示しています。神がお用いになる人に神は特別な条件を付けておられないのです。