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女性の保険
 (女性に関する戒め・二)

                          (レビ記12・4)
                                             石川和夫牧師
  

「産婦は出血の汚れが清まるのに必要な三十三日の間、家にとどまる。」(レビ記12・4)
 日本でのいわゆる「後産」の保養を義務付けた規則と考えられます。衛生知識の乏しいあの時代に、宗教的な戒めとして庶民の保険を重んじたのでしょう。
 「産婦の清めの期間が完了したならば、産婦は一歳の雄羊一匹を焼き尽くす献げ物とし、家鳩または山鳩一羽を贖罪の献げ物として臨在の幕屋の入り口に携えて行き、祭司に渡す。祭司がそれを主の前にささげて、産婦のために贖いの儀式を行うと、彼女は出血の穢れから清められる。」(レビ記12・6、7) 貧しくて雄羊に手が届かない場合には、二羽の山鳩または二羽の家鳩を携えて行くことが許されていました(8節)。イエスの誕生後、両親がそのようにしたことが、ルカによる福音書(2・22〜24)に記録されています。
「もし、生理期間中でないときに、何日も出血があるか、あるいはその期間を過ぎても出血がやまないならば、その期間中は汚れており、生理期間中と同じように汚れる。」(レビ記15・25)
 十二年間出血病を患った女が、イエスに癒されましたが、彼女は、この規定のゆえに、人々から差別されて心身ともに苦しんだのです。(マタイ9・20〜22、マルコ5・25〜29、ルカ8・43〜44)
 本来、保険が目的だった規則が、宗教的な意味を加えられたことによって、本来の目的が果されず、差別を生み出したことは、何たる皮肉でしょうか。