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才色兼備の妻、アビガイル

(サムエル記上25・1〜42)

                                             石川和夫牧師
  

 サムエルが死ぬと、ダビデはサウル王を避けてパランの荒野に下ります。そこで、マオンにいるナバルという人物を知り、援助を求めて十人の従者を遣わしましたが、ナバルは、無礼な態度で彼らを追い返してしまいました(25・1〜11)。
 ナバルの妻アビガイル(ヘブル語で「わが父は喜ぶ」)はナバルの従者から、その報告を受けると、このようにダビデを侮辱しては、夫の命に関わると判断します。そこで、ろばに食糧を積み、内緒で夫のもとを抜け出して、ダビデと従者の行く手をさえぎり、贈り物を受けて欲しいと嘆願しました。ダビデはこれを受け入れ、去って行きます(25・14〜35)。
 アビガイルは急いで帰宅し、夫の催す大宴会に参加します。ナバルは酔っていたので、彼女は翌朝まで何も話しませんでした。そして、ナバルの酔いがさめてから、事の成り行きを話して聞かせますと、彼は意識を無くして倒れ、十日後に死にます。ダビデは彼の死を聞くと、アビガイルに妻となるよう求め、彼女は同意しました(25・36〜42)。
 嫉妬に狂うサウルの手を逃れて、ダビデはペリシテのガトの王、アキシュのもとに移りますが、その折に、アビガイルは、もう一人の妻、アヒノアムと共にダビデに同行します(27・1〜3)。後に、南からアマレク人に攻められて、彼女は捕えられますが、ダビデに救出されます(三〇・一〜一八)。
 サウルの死後、ヘブロンに移り、そこでキルアブ(ダニエル)という息子を産みます(サムエル記下22・2、3・3)。凶暴な夫を救おうとして、ダビデのもとを尋ねた彼女は、その才色兼備と謙遜さを認められ、思いがけずダビデの妻となりました。そうしていなければ、夫のナバルと共に命を失っていたでしょう。神は謙遜な者を喜ぶと聖書は告げたいのでしょうか。