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『一人の中の二人』 石川 和夫牧師 「よく聞け。主はあなたたちにこう言われる。 『この大軍を前にしても恐れるな。おじけるな。 これはあなたたちの戦いではなく、神の戦いである。 ………堅く立って、主があなたたちを救うのを見よ。 ……恐れるな。おじけるな。明日敵に向かって出て行け。主が共におられる。』 (歴代誌下二〇・一五〜一七) 「いよいよ、外部に向けて募金開始である。市内、道内、全国の諸教会、兄弟姉妹、親戚、友人にお願いの文書を送った。私たちにあるのは、 二匹の魚と五つのパン(マタイによる福音書一四章一三―二一節) だけである。発送作業を終えて、一息入れた私は桜小路さんにこんなことを言ったらしい。 『私はこの会堂建築が本当にできたら、聖書の奇跡を信じるよ』 牧師から出る言葉ではない。聴く人によっては大きなつまずきになってしまうだろう。この牧師は聖書をまともに信じていないのか。いま、教会員が本気になって取り組もうとしているこの事業を心の底では不可能だと思っているのか。桜小路さんも私の軽率な言葉を聞いて少なからず驚いたそうだが、『ああ、先生は一生懸命なんだなあ』とあたたかく受け止めてくれた。 正直にそう思った。私の中に、二人の私がいて、一人はこの計画は神様のものだから必ずできると信じて疑っていない。もう一人の私は、そんなことはあるはずはない、と疑っている。そして二人の私が勝ったり負けたりするのである。」(榎本栄次「川は曲がりながらも」北海道開拓伝道一四年の記録、主婦の友社一九九〇年六月十一日、初版、六八頁) 現在の 去る九月二六日の臨時総会で、 ここで、わが教会員の松村さんの活躍が始まる。彼女は、司法書士としての経験とその知識をフルに発揮した。まず、B氏の生前、九月九日の契約がしっかり履行されるように万全の準備を整える。その次に、可及的速やかに、土地の登記を私達のものとする。そのために、土地代金の支払いをなるべく早くに済ませてしまう。ということで、実情を教会員の皆様に説明したところ、なんとありがたいことか!教会債の申し込みと献金が相次ぎ、十月二十八日に、全額を支払うめどが立った。 あとは、支払いの方法(誰に、どのように、相続人全員の納得を得て)と登記のための準備の問題が残る。まず支払いの方法についてだが、相続人全員に、九月九日の契約を履行することと支払いについても全員が異議を唱えないことを印鑑証明付の念書に署名押印してもらうようにする。 そして、登記については、日本基督教団名義で登記することは、時間的、手続き的に不可能なことから、日本基督教団永山教会、代表、石川和夫名義とするより他の方法がない。しかし、永山教会は、法的には、人格なき社団なので、税法上の特権(免税)を行使できない。そこで、宗教法人の手続きを早急に行わなければならないのだが、登録免許税はやむをえないとしても固定資産税が課税されないために、あらかじめ都庁と税務当局とあらかじめ連絡をとって、了承してもらう必要がある。 そのために、この土地は、決して石川和夫個人のものではなく、永山教会信徒全員のものであることを法的にも明らかにしておかなければならない。そこで、このことを総会が決議し、教会と石川和夫との間に、念書を交わしておく。そのために、もう一度、臨時総会を開かなければならない。その折に、これらのことを裏付けられるよう、教会規則も改定する。法的に落度がないよう、万全を期さなければならない。 以上、非常に面倒くさい手続きをしてゆかなければならないのだが、社会的に認められる法人となるためには、その他にもいろいろと整備しておかなければならないこともあるだろう。基本財産を持つようになれば、会計報告に、貸借対照表も付さなければならなくなる。 その上、JTBから、リストラで、年内いっぱいで土曜、日曜の営業を一切やめるので、一月からの礼拝会場を探さなければならない。現在、恵泉女学園大学と交渉中である。 しかし、これらの課題は、いわば、産みの苦しみである。榎本先生ではないけれど、「この計画は神様のものだから必ずできると信じて疑っていない。もう一人の私は、そんなことはあるはずはない、と疑っている。そして二人の私が勝ったり負けたりする」のだが、この土地が与えられることについても偶然とはいえない数々の不思議があった。地主さんが亡くなったことによって一挙に土地の登記まで漕ぎ着けた。主の声が聞こえる。 「よく聞け。主はあなたたちにこう言われる。 『この大軍を前にしても恐れるな。おじけるな。 これはあなたたちの戦いではなく、神の戦いである。 ………堅く立って、主があなたたちを救うのを見よ。 ……恐れるな。おじけるな。明日敵に向かって出て行け。主が共におられる。』 (歴代誌下二〇・一五〜一七)
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